西吾妻山に行ってきました。
夏に職場の後輩と行って、山頂の眺望はないものの、とても気に入っている山です。
なにより、蔵王同様に一つ一つの際立った山ではなく、個性豊かな山並が連なるまさに連峰、そして名瀑を抱える場所。
そういう意味で、思い入れのある場所でもあります。
この冬は消化不良感がかなり強かった上、蔵王は2回とも悪天候で敗退したので、雪景色と樹氷(リトルモンスター)の名残に期待をしてのアタックでした。

初の雪山登山(雪山に入ってはいても、山頂を目指す登山は初)・・・単独での不安は少しありましたが、夏に行って地形は頭に入っているので、天気さえ大丈夫なら、難所もないし問題はないと。
西吾妻スカイバレーは冬季封鎖なので、東北道から冬前に開通したばかりの東北中央自動車道を使って米沢に入り、白布温泉のある天元台へ南下します。
ここからロープウェーとリフト3本を乗り継いで北望台へ。

※ロープウェー&リフト往復(登山者は下りもリフト利用可)3500円
リフトを降りたらスキーヤー、スノーボーダーの邪魔にならない場所に避けて準備開始です。
ちょうど右側がコース外になっていて、ポールがありますが、そこから樹林帯を進む形になります。
だいぶ雪が締まっており、少し悩んだものの、クランポンが付いているため融通が利くだろうということでスノーシューを装着し、スタートです。

雪面はかなり固まっていて、トレース痕もだいぶ薄く、かろうじて人の入った痕が確認できる程度でした。
樹林帯にはところどころピンクテープもありましたが、シーズン中の人形岩に迂回しないほうの登山道にあるものと思われ、ルートは少し分かりづらいです。
右側から中大巓を巻くように樹林帯をなだらかに南方面に進み、かもしか展望台をやり過ごして、北望台から約100m高度を上げます。
(もしルートを見失ったときは、右手にロープが張られているので、これを目安にしましょう。)

高度を上げると、ちょうど中大巓と梵天岩のコルに出るので、この辺からは梵天岩を目指します。
正面に見えているのは梵天岩で、西吾妻山の山頂はこの奥になります。
最初は大きな針葉樹林帯だったのが、コルに出た辺りからリトルモンスターが出現します。




正直、リトルモンスターはほぼ終わっていると思っていたのですが、予想以上で、青空とも相まって絶景にかなりテンションが上がりました。
コルに出るとやがて冬山登山ルートを示す案内や木々につけられたマーキングが散見されますので、あとは目指す方角も見えているため歩きやすい場所を進みます。
※今回は歩く場所は気にする必要はありませんでしたが、ふかふかの状態だと樹氷群に近づきすぎると厄介なので、一定の距離を取ったほうが良いでしょう。



梵天岩まで登り、そのまま高度を少し下げてから目の前に広がる山頂部を目指しました。
樹氷地帯を縫うように高度を上げると、山頂付近の開けた場所に出ますが、山頂を示す標柱は雪深くに埋もれ視認できません。
何より、シーズン中は樹林帯の中、眺望のない山頂であるにもかかわらず、冬は樹氷が人の背丈より低いものがほとんどという状態なので、当然、標柱が確認できるわけもありません。
だいたいこの辺りだろうというところで周囲に広がるリトルモンスターを愛でつつ、軽く食事を摂りました。





ここから引き返し、梵天岩に登る手前から左手に進路を変え、吾妻山神社のある天狗岩に向かいます。
登りきろうかという辺りから、岩が顔を出しているので、気をつけながら神社前へ。

ここから梵天岩に戻ったら、往路とほぼ同じルートで戻ります。

コルから中大巓を避けるように樹林帯に入る辺りは、トレース痕があるときは良いですが、決まったルートがあるわけではないので、今回のように痕がつきにくいと少し分かりづらいです。
来たルートより少し手前で左に微かなトレース痕があったのでそちらに向かいましたが、途中で消えており、戻ったものの往路で通った痕も風で消えてしまった模様・・・
結局、最初に見つけたトレース痕に戻ると、左側にスタート時に見たロープを見つけたので、これを目安に歩きやすそうな場所を進むと再び微かなトレース痕を見つけ、ほどなく往路に通過した場所に戻りました。
そこからは北望台を目指すと間もなく、リフトの音が聞こえだし、すぐ到着しました。
ゲレンデを歩いて降りることも考えましたが、往復券を買ったこともあり、利用できるものは利用しようということで、リフトを3本乗り継いで、天元台高原駅に戻り、ロープウェーで下山しました。
今回は撮影時間を除くと、北望台から西吾妻山まで片道約1時間程度でした。
ただ、あくまで雪が締まって歩きやすかったからで、雪山登山の本では北望台から梵天岩まで1時間40分、そこから山頂まで20分のコースタイムとなっているので、それくらいは見積もっておくべきでしょう。
併せて蔵王同様、樹氷ができるということは、それだけ風雪が厳しく、荒れやすい場所ということです。
日本海からの雪雲をまともに受ける山域なので、荒天のときは行動は慎みましょう。
天気読みが難しい場所でもあり、特に2月はほとんどの日が荒れるようです。
1月だと樹氷の形成期でもあるので、完成形は2月から3月初めまでのようですが、2月は冬型気圧配置で悪天候が多く、かつ、読みづらいです。
やはり安全を期すなら、天気の安定してくる3月の上旬から中旬くらいが良いのではないでしょうか。
難所もなく、リトルモンスターが群生していてかなり見応えがありますので、雪山入門としてはかなりおススメの場所です。

また、ゲレンデを降りる、西大巓まで足を延ばす、福島のグランデコスキー場から西大巓経由で西吾妻山に登る等、バリエーションが楽しめるのも魅力だと思います。
余談ですが、蔵王では1度目は2月初めに一面ホワイトアウトで突風が吹き荒れていましたし、2度目は西吾妻山の前の週に山の天気を見て行ったにもかかわらず視界不良で敗退しました。

荒れる山域の恐ろしさは、登らなかった、というよりむしろ登り始めることすらできなかった経験から、初めて実感することができました。
※必要装備
雪山一般装備(全身防寒対策はしっかりと)+スノーシューorワカン、ストック
(雪がかなり締まっている条件ならアイゼンが良い場合も。)
ピッケルは持参したものの、おそらく不要
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