阿武隈源流本沢(赤滝ほか)

2016.09.03(Sat)

福島県西郷村にある「阿武隈源流本沢」

阿武隈源流部には、大きく分けて、今回訪問した本沢以外にも、一里滝沢、南沢、白水沢があります。
その中でも本沢の代表格、赤滝は、恐竜の背骨、ゴジラとも称されるインパクトの大きい特徴的な滝ですが、この滝に逢いに、滝仲間と総勢5人で行ってきました。
訪問は、8月27日です。

前夜から雨で、この日も小雨とはいえ、ほぼ降り続いていて、沢はかなり増水していました。
雄滝までで引き返すか、行けるところまで行ってみるか、ギリギリまで迷った挙句、唯一の経験者で案内人の「鉄砲水はない」の一言、そしてメンバー全員そこそこの経験は積んでいること、他のメンバーの表情等から、最終的には行けるところまでの選択をし、結果的には赤滝まで行ってくることができましたが、個人的に懸念した帰路の増水は予想どおりで、参加した以上は個々の自己責任とはいえ、企画した身としては仮に参加者に何かあれば私の責任ということもあり、全員が無事に帰ることが至上命題ですから、その意味ではアタックすべきではない状況だったことを申し添えます。

<アクセス>
国道289号を西に進み、安心院トンネルを抜けてすぐ、甲子温泉大黒屋方面に左折し、下ります。急カーブを過ぎると間もなく数台分の駐車スペースがあり、この少し下った先に林道があり、ここから入ります。すぐ、甲子大橋の橋脚下をやりすごしつつ進んだ先が本格的なスタートとなります(アプローチ図①)
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なお、駐車スペースは、林道入口よりもう少し先にもあります。

<アプローチ>
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林道を約15分進むと、「危険につき沢の方へ迂回してください」の表示(アプローチ図②)があります。
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以前はこのまま進めたのですが、崩落により迂回せざるを得ないため、一度沢に下ります。
左手に堰堤が見えたところで、沢から山道に入ります。
すぐに分岐(アプローチ図③)(訪問時、青いトタンあり)があって、よく見ないと再び沢に行ってしまいがちですが、そのまま左側に向かって山道を進むのが正解です。
仮に沢に下りてしまったときは、その先の堰堤を越えることができないため、右岸の急斜面を強引に攀じ登る必要があります。
山道を進んで、ロープを伝って沢に下りる(アプローチ図④)と、堰堤のすぐ上に出たことが分かります。
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ここからは基本的に沢の遡行になりますが、訪問時はかなりの増水であったため、途中、右岸・左岸と移動し、歩けるところを進みましたが、通常の水量であれば基本的に沢をそのまま進んでいけそうです。
途中、有名な(?)「阿武隈川ひとまたぎ」がありますが、このときはかなりの増水で危険でした。
何箇所か、鎖場、ロープあるいはフリーでへつりながら進んでいくと、スタートから約1時間40分で雌滝(アプローチ図⑤)に到着です。
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落差は決して大きくはないものの、オーバーハングした断崖から落下する直瀑で、濡れずに裏見ができます。滝壺は広く、訪問時の悪条件ですら、美しさが分かるほどでした。この上に渓流瀑帯があり、落差15mというのはそれを含めてのものかと思われます。

ここからわずかに戻ると、右岸に鎖があるので、この岩場を直登します(アプローチ図⑥)
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そこから尾根筋を進んでいくと、分岐があり右下に雄滝が見える(アプローチ図⑦)ので、踏み跡を辿って下って沢に出て少し遡行すると、雌滝から約10分で雄滝(アプローチ図⑧)に到着します(約60mの登りと下り)。
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本沢最大クラスの落差50mの直瀑で、豪快かつ端正な姿は爽快です。
このときはかなりの水量で、近づくと息ができないほどの瀑風でした。
ここも本当は美しい滝壺を有していますが、増水のために楽しむことができなかったのは残念です。

更に先を目指すため、約60m登り返して尾根筋に戻ったら、そのまま約100m登っていきます。帰路に気づきましたが、結構な痩せ尾根なので、足を踏み外さないよう気をつけましょう。
ここからロープ伝いにトラバースするとルンゼが出てくるので、ここからもロープも使いながら約20m攀じ登ります(アプローチ図⑨)
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トラバースしてからルンゼに取り付くところは、かなり岩肌が脆くなっており、落石も多いので、慎重に進む必要があります。

ルンゼを登りきったら、ここからはひたすら沢を目指して下ります。
緩やかに下って行くと間もなく、急斜面に出るので、安全を期すならザイルを出したほうが良いかもしれません。なくても行けますが、安心感が違います。
途中、踏み跡が少し不明瞭になりますが、歩きやすいところを見極めながら下って行くと、天狗滝が見えてきます。
沢まで下りると、ここは本沢の枝沢、天狗滝沢となっており、少し遡行していくと、雄滝から約1時間で天狗滝に到着します(アプローチ図⑩)
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この天狗滝、荒々しさが特徴的な阿武隈源流本沢にあって、唯一の安らぎの形状をしている滝といえるかもしれません。落差30m、直瀑と分岐瀑の組み合わせは、なかなかの美しさです。

天狗滝沢を下って行くと、本沢と合流します。
なお、少しルートから外れ、本沢を下って行くと雄滝の少し上流部に、約30mの無名瀑が左岸から落ちています。また、天狗滝沢と本沢が合流するところはいくつかの小滝がありますが、最下流部の幅広のもの(アプローチ図⑪)は、なかなかの美しさです。
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沢の水が少ないときは、天狗滝沢から本沢に下りてしまって良いのかもしれませんが、そのままは進めなそうでしたので、天狗滝沢から本沢に落ちる小滝の上を渡って、トラバースして淵となった激流をやり過ごしてから本沢に下ります。

本沢に出たら、そのまま遡行していくと、2つの沢の出合いが見えてきます。一見すると正面が本沢と思いがちですが、こちらは地形図に出ていない赤滝沢ですので、まずは右手の本沢を進みます。
間もなく見える滝が霧降滝で、天狗滝から約30分で到着します(アプローチ図⑫)
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霧降滝は、岩肌で形を変えながら落ちており、ここは濡れるのを覚悟すれば、裏見ができます。直下から見えるのは約15mですが、その上に連瀑帯があるようで、落差20mは、それも含めてのものと思われます。
なお、本沢はこの上にも滝がいくつかあるようで、沢ヤはそちらを詰めていくようです。

本沢を下り、赤滝沢に入っていくとすぐ奥手に、念願の赤滝が見えます。霧降滝からは約5分ほどなので、すぐ近くです(アプローチ図⑬)
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落差50m、金属イオンにより少し赤みがかった岩肌、まさに恐竜の背骨のような、ゴジラとも称されるこの赤滝は、他に類を見ない独特の形状をしています。
自然の力を思い知らされるとともに、どうやってこの形状となったのか、時の流れに思いを馳せたくなります。
この本沢筋の滝群はどれも素晴らしく、それぞれが単体でも訪れる価値のある滝ですが、赤滝を見た瞬間、それまでの個々の感動がすべてリセットされてしまったかと思えるほどに、この赤滝は素晴らしく、また、印象深い滝です。
ここも滝壺はなかなかの美しさを見せてくれました。
念願の赤滝を見ながらの昼食は、ことのほか格別でした。

赤滝まで約3時間半、危険箇所、不明瞭箇所もありますが、特に赤滝は行くだけの価値のある素晴らしい姿をしていますので、次回は、晴れの日、通常の水量のときに行きたいと思います。

なお、足回りですが、沢歩きが主体となり、へつりもあるので、沢靴が良いでしょう。
ソールは、ステルスのラバーソールでも、一般的なフェルトソールでも大丈夫かと思われます。

崩落等により以前とはルートが変わっていること、沢の渓相によっては進むルート・難易度・危険度も変わってくるので、注意は必要です。基本的にマーキングはありますが、ところどころルートが不明瞭なところもあるので、ある程度の熟練者以外は、案内人がいたほうが安心だと思います。
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Author:すずき
滝を求めて、趣味のカメラを携え、東奔西走しています。
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